18:ちょっぴりインプレ(1)(1997/11/21)

 gtv2.0('82)は、2+2とはいえ、僕が所有した初めての「スポーツクーペ」。かといって、スポーティなそれを期待していた訳ではなく、それなりの時代的背景に即したドライビングを期待するだけでした。

 というわけで、97年現在のgtv2.0('82)(未再生)のミニインプレッションをお送り致します。経年変化による新車とのニュアンスの違いについてはご容赦のほどを。間違いについてはご指摘下さると嬉しいです。車体〜内装関係については経年変化が著しいため割愛(雑誌類を参照されたし)。

仕様:

gtv2.0('82年型)右ハンドル
排気量1962c.c.
最高出力130hpDIN/5400rpm(カタログ値)
最大トルク18.3kgmDIN/4000rpm(カタログ値)

概要:

AlfettaGTシリーズの2000c.c.後期版。2000c.c.には大きく分けて、78年〜80年のAlfettaGTV2.0/2.0L、同時期北米仕様(5mphバンパー+スピカインジェクション搭載型(Alfetta2000GTV))と、80年型以降のマイナーチェンジ版(ウレタンバンパー+キャブ仕様(gtv2.0))の3種類があります。このgtvは後者に属するイギリス仕様。

始動:

 吸気系にデロルトDHLA40ツインキャブを使うアルミブロックDOHCエンジンは、毎日の運行さえ心がけていれば、たとえ冬の朝であっても、数回スロットルをあおって、1/3程開けたままイグニションを回せば2〜3秒のクランキングで簡単に目を覚まします。「旧車の始動には独特の儀式が必要だ」と言われますが、ノーマルアルファにとってはそれは当たりません。いわゆるキャブ車の普通の始動方法です。もちろんチョークも殆どと言っていいほど使いません。
 アルファに搭載されているキャブは、ウェーバー製、ソレックス製、デロルト製のいずれかで、どれが入っているかはエンジンルームを開けるまで分からないとはアルフィスタの常識。キャブといえば「ウェーバー」という伝統的な概念がありますが、3機種の間に機能差はないというのも定説。

アイドリング:

 ハンドスロットルを引いて2000rpm付近を保ちながらしばらく暖気に入ります。最近では環境問題との絡みもあり「暖気運転は無意味だ」というのが常識ですが、設計の古いエンジンに限ってはせめて1分位はしてあげたいです。暖気の目安を知るのは簡単で、エンジン全体の動きが滑らかになってくると、ハンドスロットルで2000rpmに合わせた回転数が次第に上がってきます。そしたら数回スロットルペダルをあおってやり、それで回転数が落ちる様であれば走り始めてOKです。

 各機関が完全に暖まるまではgtvのアイドリングは若干不安定です。でも世に言う「ツインキャブ車は常にあおってやらないとエンストする」というのは違います。そもそもそれはレース用にセッティングされたキャブか、ハイコンプピストン、さもなくば単なる調整ミスの場合であって、本来アルファのアイドリングは実に安定しています。このgtvに限って言えば冷間アイドリングが不安定なのは、点火系統の部品寿命もしくは若干進角の進みがちが考えられます。もしもアイドリングが不安定な場合、セッティングや点火系統の他にも様々な要因があります。まずはエンジンマウントのヘタり、インマニホールドのヘタりによる吸気漏れ、等速ジョイントやセンターベアリングのヘタりもしくは取り付け方法ミス、そしてどのクルマにも言えるのはシリンダの圧縮漏れ...きりがないのでヤメます。

 Alfettaにはブリッピング(素早いスロットルワークによる空ぶかし)だけでエンスー心をくすぐる様な敏感なレブカウンターの動きはあまり期待できません。昇りはそれなりですが、下りはとっても緩慢です。そもそもアルファの1800c.c.と2000c.c.はかなりのロングストロークで、「アルファ」を初めて見た人の10人中8人までが、フェラーリの様なシャープな針の上下を期待した直後にガッカリして帰って行きます。排気音は、ANSA特有の重く乾いた「ドーッ」という、特徴的な音です。



19に続く