11 バランス(1)(2000/09/16〜18)

手に入れたばかりの頃、いくつかの点を除けば、75TSは非常に程度の良いクルマでした。


当時で確か5年か6年落ちぐらいだったと思います。

普通、6年落ちぐらいになると、あちこちゆがみが来て交換部品も多くなる頃です。

もちろん、75も例外だったわけではありませんが、でもおおむね「自動車」としての信頼性や、使い勝手はいわゆる「壊れるイタ車」「ラテンジゴク」などと言った一般 的なイタ車へのイメージとはほど遠いものでした。

そのこと自体、決してアルファロメオのイメージと背反するわけじゃなくてむしろ、僕の今まで乗ってきたクルマの中ではアルファロメオというのはかなり頑丈なクルマの部類に入っていたから、「6年落ちのアルファロメオ」に、メンテナンスフリーで乗れるということに素直に喜んでいた部分もあります。


前のオーナーがこまめにメンテに出していた事も大きいでしょう。

ただ「なんか違うなぁ」と思うことも2度や3度ではありませんでした。

それがすべて、アルフェッタとの感覚的な差異あるいは75というクルマの身のこなしについてでした。


例えば、アルフェッタの時は10回に6回ぐらいは確実にあった文字通り「人車一体」になる瞬間の感覚が 75に乗り換えてしばらくは1回か2回あればマシな方に減ってしまいました。
(人車一体=速く走れるという意味ではない)

最初は、75を乗りこなしてない自分のせいだと思ってました。
次第に、75自体に違和感を覚えるようになっていったのも事実です。

だんだん、自分が乗っている車がアルファロメオかどうかあるいはイタ車かどうかすら、かなりどうでも良くなっていきました。

で、だんだん、仕事や街乗りでしか乗らなくなっていくうちに 、75は調子を崩して乗りづらい車になっていったのです。


まず真っ先に来たのはマフラーとクラッチ。次に来たのは、ミッション。

そうしてだんだんイヤ気が差してきた頃のそんなある日、渋滞の中でエアコンを使いすぎてバッテリーをあげてしまった事件がきっかけで、僕と75の関係が少しだけ変わる出来事が起きたのです。

 

ある暑い夏の日、僕は環七を走行していました。

渋滞の中でエアコンとCDチェンジャーを使いすぎて半ば当然の事だけれど、バッテリーをあげてしまったのです。

ホント堕落しきったクルマの使い方(笑)

でも、 言い訳するわけじゃないけれど、Alfettaもそうだったけど、この75というヤツも
あるいは設計が古いからかそういう場面で、決して不動状態になったことがないのです。

つまり、そんなトラブルを起こしても必ず自走で帰ってこれるクルマ。

例えばこんな事がありました。

ある時、アルフェッタのクラッチが切れなくなってやはりこれも環七のど真ん中で止まってしまった事があります。
いくら踏んでもスカスカ。クラッチのスレーブシリンダがいかれてしまった故。

下回りを覗くと、盛大にオイルが漏れていてとても応急処置や修復は困難そうでした。

それよりなによりクラッチが切れないのでは発進もできません。

なんとか交通の流れを止め、路肩にクルマを寄せ友人のヘルプを頼んだけれど、結局、いろんな事情が重なって牽引もレッカーも頼めませんでした。

で、結局どうしたかというと、ニュートラルでセルモーターを回し、クラッチが繋がったまんま無理やり1速につないで発進し、そのままUターンしてクラッチなしで自走して帰ってきてしまったのです。


そしてさらに次の日、旗の台にある修理工場まで自走までしちゃいました。

ギアは多少痛んだかもしれないけれどコツさえつかめば、走る事自体は、結構たいしたことありませんでした。

このとき、「アルファってスゲー」と素直に思いました。(古いだけという話もある)


ラテン車って、クルマに完璧を求めるともうジゴクだけど、いい加減に接すると、割といいこともあります。

そういえばBXの時もそうでした。

それはともかく、このときもなんとか自走で帰宅できバッテリーを交換し、レギュレータが弱っているのも確認しとりあえず「ああこんな走り方ではいかん!」と 心から反省した訳です。

で、久しぶりに忘れかけていた感覚を取り戻すためにワインディングを走ることにしました。



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