ぐうたら犬と暮らそう

ペットショップやブリーダーの良し悪し

 はっきり言って、外車の中古屋さんを探すようなもんです。つまり、優良な業者もいれば、もしかしたら悪徳業者もいる、悪気があってもなくてもトラブルはあるかもしれないし無いかもしれない。高くていい子犬を入手できるところもあれば、高くてもそれなりの子犬だったり、安くても素晴らしい子犬を扱っているところもあれば、そうでないところもあり・・・。命あるものですから、その命を大切に思っている業者を発見するしかないというのが現状です。

 だから、最終的には犬自体を見て判断するしかないと思います。けれども子犬の見立てなんてプロでも難しいですから、やはり「縁」が大事だと思うのです。そうなると業態にこだわるのはあまり意味のない事になってしまいます。繰り返せば、一番理想的なのは知り合いにシリアスホビーブリーダー(商売にしてないが、よく犬種を研究している繁殖家)がいることなんです。

 傾向としてペットショップの多くは、30日前後で母犬と引き離し、ショーケースの中で殆どの時間を過ごさせるというやり方を採っているのは事実です。30日前後で母犬と引き離すことのデメリット自体は後のケアで何とかなる部分もありますが、ショーケースで殆どの時間を過ごすというのは、子犬の精神状態にとっては、やはり良いことではありません。そのためペットショップの良否を見分ける方法として、「ガラスケースに子犬を展示していない」という点を重視する人もいますが、経験から言えば、「そんな『ペットショップ』はない」というのが僕の実感です。むしろ例えば、ガラスケースの中に入ってる子もいれば、サークルにいる子もいるし、子犬同士で遊ばせているなど、様々な展示方法や居住方法を使い分けているという点に注目した方が確実だと思います。

 また、ペットショップと言われているところの中にも、夜には母犬の元に帰って寝かせたり、スタッフが常駐するなど、気を配りながら商売との両立を目指しているショップやブリーダーも存在します。そういう事を見抜くのはとても難しいのですが、逆に「ブリーダー」の問題点を見抜くよりはずっと優しい事です。別 な意味で経験の豊富なショップやブリーダーは、衛生面や遺伝疾患、しつけの問題点を巧みに隠すテクニックを知っていたりします。

 ペットショップの問題が指摘されるのは、子犬の入手ルートがいわゆる「パピーミル」と呼ばれる、繁殖工場の様な無分別 なブリーダーから生体市場に流れ、それがペットショップに競り落とされるというような例です。この場合、遺伝疾患だけでなく、パルボやジステンバーなど 致死率の高い伝染病で子犬が死んでしまう確率が非常に高いと言われています。そうでなくても、母犬からの離乳時期や繁殖方法など、動物愛護の点でも、また優れた犬種を守ってゆくという精神から見ても、このルートによる家庭犬の流通 には問題が多いというのが、犬をよく見ている人たちの大方の共通した意見でしょう。

 ちなみに30日前後で母犬と引き離してしまうのはショップやブリーダー側より我々「買う方」の責任を追及しなければなりません。なぜなら一番子犬が売れるのは生後2ヶ月から3ヶ月にかけてなんだそうです。なぜなら、人間の「カワイイ!」本能を刺激するのがこの頃だから。そして生後3ヶ月を過ぎた子犬は急に売れなくなり、値段がどんどん下がって来るのです。手足が伸びてきてかわいさがなくなってくるからでしょう。だから、30日で顔見せに出してしまうというのは、なるべく「売り」に出す期間を長く採るための商売上の手法な訳です。(早く手放さないとコストがかかって子犬の値段を高くしなければならないという事情もあるらしい)

 けれども子犬にしっかりしつけが入れられるのは4ヶ月を過ぎてから。最低でも70-90日は必要です。生後1-2ヶ月の子犬なんて、訳は分からないし身体は弱いしで、苦労ばかり背負い込む事になります。僕だったら絶対にNo Thank You !です。

 これから子犬を迎えるつもりの人は、せめて生後70〜90日ぐらいの子犬を選んでください。ただ、30日前後の頃の子犬の暮らし方(母犬や兄弟達、あるいは人間と幸せに暮らしていたかどうか)という点も重要なポイントですので、その辺も考慮に入れつつ…。

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