13:エンスージアスト初心者誕生(1)(1997/11/16)

 本気で75を物色するために郊外を徘徊していたある日の夕方、道端のショップに何台かのGIULIA GTが並んでいるのを見かけ、寄ってみました。そして赤や紺色の奇麗なベルトーネデザインのクーペを、「さすがに世のアルフィスタを惑わすに十分だ」などと、妙に遠巻きな感想を持ちながら眺めていました。「遠巻き」というのは、そもそも広告情報の段階でクーペの相場があまりに高いのにおじけづき無意識に候補から外していたためです。買うつもりは毛頭ありませんでした。

 白状しますと、僕は18歳の時にあるきっかけでGIULIA GTを間近に見るまで、いすゞベレットGTと、AlfaRomeo GIULIA GTの区別が全く付いていませんでした。あまつさえ、それまで街で「ベレットだ!」と思っていたクルマのおそらく半数近くは「アルファロメオ」だったらしいことにもその年で知った訳です。アルフィスタと名乗るにはあまりにお粗末な過去と言わざるを得ません。そのくせ小学生の頃は、スーパーカーブームを尻目に、一人だけベルリーナを指して「ブルーバード(410)よりアルファの方がカッコイイや!」などとほざいていたのですから、当時からずいぶんとアナクロねじけたクルマの見方をしていたようです。ちなみに410はピニンファリナデザインと言われています。ただし日産もファリナも否定しているところを見ると、よほどモックアップと実車がかけ離れていたのでしょう。

 ともかく僕はそのショップで、段が付いているのやら付いてないのやらをためつすがめつ見る事になったのですが、遠目から見るのに比べ、細部を良く見るとどれもかなりくたびれているようです。特にウェザーストリップやサッシの周りは、60年代のデザインの特徴である非常に線の細い部品が集まる部分にかなりのガタを生じている様なたたずまいを見せていました。後から考えれば、ドイツ車のワーグナーでも聞こえてきそうな壮大な屋台骨に見慣れていたための目の落差のせいだとは思うのですが、それにしても、走るのはガンガン走りそうなたたずまいを見せながら、細部はサビ取りやら交換してあげたくてムズムズするような外装部品がそこここに見受けられるのでした。

 その時、突然僕は何かフラッシュバックのようなものを脳裏に感じ、少し古い記憶と感覚を探しはじめていました。そしてしばらくしてそれが、まだ新車が買えない頃に解体屋さんを巡っては部品をつけかえたり、アチコチ直しながら走っていた910ブルーバード(ただし1600cc)とのホロ苦い日々だという事に気付きました。



14に続く