35 ドナドナ75(2002/08/31)


それでも気が付けば、75TSは僕にとって過去最も長く乗ったクルマになっていました。「足として酷使できるアルファを…」というコンセプトで選び、実際その期待にもよく答えてくれたと思います。

僕の年間走行距離は平均1.5万km以上。月に直すと1250km、1日当たり40kmは乗っている計算になります。ちなみにこの距離は年々伸びる一方、減る気配がありません(今年からは都内への移動だけで往復100kmを走ることになり、週一ペースでこれを繰り返すことでさらに5000km/年が加算されることとなりました)これを、渋滞、高速、酷暑、極寒、雪道、土砂降り、峠、街中のストップアンドゴーとあらゆる環境で年中酷使し続けられるのです。イタ車として見れば、高温多湿の日本で5年もノーメンテで走れた事自体が奇跡みたいなものです。

それでも正直なところ、ここ半年の間、僕は75を今秋の車検に出そうかどうしようかかなり迷っていました。足としていろんな部分で不満や不足が表面化してきたのと、蓮田に引っ越してからというもの、カミさんが日頃の足に乗る機会が増えてくるに連れ、どうしてもドライバーに負担を強いるクルマという部分がクローズアップしてきていたこともあります。

もうひとつは、またしても費用の問題です。トランスアクスル式のアルファロメオは消耗品の交換の際でも大がかりな分解をすることが多いので、不具合が気になった場合には同時にまとめて何カ所かに手を入れた方が安上がりな場合が多いのですが、車検整備費と気になる箇所をすべてピックアップしてみると、どうしても60万円を超えてしまいます。gtv2.0の車検を通した時の整備費用が58万円でしたから、どうやら記録更新は間違いなさそうです。この費用はこまめに手入れをしていれば安く済むという問題ではなく、ヨーロッパ車特有の「そろそろこういう時期だ」という消耗部品、もう一つは前オーナー時から引きずっている75TSならではの不具合、以前川崎に住んでいた頃、疲労困憊していたにも関わらずアルファを運転しようとした罰…後フェンダーの破損という3つの要素が絡んでの見積もりです。

今回のスレーブシリンダーの交換というのは決して難しい修理ではなく、全費用10万円未満で納まるものです。けれどもこの10万を、車検が切れて廃車にする9月末までの維持費として考えるか、それとも車検時にさらに60万円+を上乗せして、あと2年乗るか、gtvと似たような状況が訪れつつあるのだということを改めて思い知らされ、そういう決断に思考を取られる事に、うんざりしながら数日を過ごしていました。

数日経ってからやっと電話機を手にし、懇意にしてもらっているショップ(センチュリーオートサービス)に連絡を取りました。もちろん75TSを今後どうするのかは決めていませんでしたが、とりあえずは修理してもらうつもりで電話しました。センチュリーの専務さんは、週末の予定を繰り上げて、電話した当日の夜の8時に、数十キロも離れている蓮田までわざわざローダーを飛ばしてきてくれました。いつでもアルファ乗りの味方をしてくれる、そんな素晴らしい姿を見るたび、どうしても「何とか直して乗りたい」と思ってきました。gtvを手放した後でこのショップの存在を知った時には、「もっと早くここを知っていれば」と悔しかった事を思い出します。

けれども75TSがローダーに積み込まれた瞬間、僕は全然別の事を、一緒にその光景を見守っていたカミさんにつぶやいていました。

「このまま引き取って貰おうか」

 



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