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実家(宮城県塩竃市)の近くで見かけたヘンな風景。頭上3m。一体何の役目をしているのだろう。こういうのを「トマソン物件」というのだということを、何かで読んでいながらすっかり忘れていて、BBSに書き込んでくれているメンバーから教えて貰って気づいた。
これを撮った時、僕は親父と何十年ぶりかで一緒に食事をしに行く途中だった。しかも歩いてだ。近所の中華料理屋だ。親父も僕も本当は雄弁でおしゃべりだ。ところが僕が幼稚園のころから極端に親子の会話が不得意だった。男の親子なんてどこもそんなもんなのだろう。コンピュータが共通
の話題になってから(パソコン歴は彼の方がずっと長く、そしてWindows派だ)つまり大人になってからやっと普通
に会話ができるようになってきた。とは言え、未だに歩いている間中、本当は二人とも気まずくてしょうがないのだ。食事の内容や行く先はどうでもよかった。
僕が何の気なしにカメラをこの"トマソン物件"に向けると、彼は「しゃがんで下から撮った方が雰囲気が伝わるぞ」とだけ言った。
その時、僕はふと親父に謝らなくちゃならないことがいっぱいあるのに、いまだに何ひとつ実現していないなあと思った。なぜだかは分からない。とにかくそう思った。いや、彼自身は忘れていたり、あるいはどうでもいいことだと思っているだろう。でも僕にとっては、親父に見せた自分の「男らしくない」態度が、未だに自分で許せないでいるのだ。(2000/09)
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