ぐうたら犬と暮らそう

覚え書きに至る経緯(1)

本来、犬とはノーリードの状態で人間の指示に従い、人間の手助けができる動物です。洋の東西を問わず、犬の文化やブリーディングは一部の犬種を除いて基本的にノーリードを前提に発展してきました。しかしそれは無条件にそうなるのではなく「血統」と「訓練」という厳しい関門を経て初めて可能になります。

 ところが現代の日本やアメリカ文化圏では事情が若干違っていて「ノーリード」は「犬を自由に遊ばせる(ノーコントロール)」ことと同一視されていることが多くあります。「リードを離れた犬=トラブルの元」というのが、日本やアメリカでは常識のようになっています。実際、ノーリードで起きるトラブルも後を絶ちません。そのために熱心な愛好家の人たちの間では「ドッグラン」という考え方が広まりつつあります。問題行動を起こさせないのではなく、起こし得ない環境を作って対処するという考え方です。

  この対処法は、短期的にはトラブルを減らし、お互いのストレスを軽減するかに見えます。でも、ドッグランは解決策とは言えません。もちろん、ドッグランそのものの楽しさを否定する訳ではありません。しかしそれはノーコントロールとはちょっと違うレベルにある話です。離してしまった時にコントロールを失ってしまうような犬は、ドッグランにおいてもやはり離すことはできないのです。

プロの作業犬達には、リードの有無に関わらずノーコントロールで放たれるという機会はありません。つまり、ノーコントロールでの自由運動は、本来の運動ともノーリードとも全く関係のない、単に犬の気ままにさせ、権勢欲や野生を煽る行動に過ぎないのです。

 運動場所の設置を声高に叫ばなくても、そういう場所に出入りしなくても、訓練によって、リードがあろうがなかろうが同じコントロールが効くように犬を訓練すれば、もっと素晴らしい経験ができるかもしれません。




ぐうたら犬と暮らそう    NEXT