ぐうたら犬と暮らそう

親睦性の制御

・知らない他人が近づいてきて撫でたり遊んでくれる
・他の犬と自主的に挨拶したりじゃれ合ったりする

これらは一見犬のために良いことのように見えますが、もし本気で愛犬のコントロールを目指すなら、制御したほうが良いと考えています。

犬にとって犬同士の挨拶は食べ物を見つけるのと同じぐらい興奮することです。これをコントロールできないということは、拾い食いを許している事と同じ様な状態です。だから基本的に禁止し、許可によってそれをコントロール下でさせた方が好ましい結果を得られると思います。最初のうちは100%禁止したほうがいい場合もあります。もしどうしても犬同士遊ばせたいのなら、完全に成長してから、一定のルールに従って犬同士引き合わせていくのでも十分大丈夫です。


他の犬との挨拶やじゃれ合いのノウハウは、子犬の頃に母犬、兄弟、父犬などとの交流によって培われているはずであり、それは必須であるけれども、リーダーの元に来てまで、リーダーがそれを助長してやる必要は一切ないと思われる。成長期において我を忘れ(リーダーの存在を忘れ)てまで遊びに耽ったり、他の犬に気を取られる事は、特に反抗期に防止できなければ、ノーリード訓練はおろか呼びすらおぼつかない状況に陥る危険性がある。一旦この癖が付いてしまうと、矯正は素人には不可能だ。実はゴルビーもそのドツボにはまってしまった。犬同士仲良く…などと、みんなにチヤホヤされているうちに、全く呼びに反応できなくなってしまった。ただでさえ呼びの効きづらい犬種で、このことは致命的だった。

  そもそもリーダーがことさらに「犬の社会性」を犬に教え込む必要はありません。人間が犬社会の事を知っているはずもなく、またコントロールできるはずもないのです。犬は人間社会において認められるべきであり、犬社会における地位 は人間が犬をコントロールできている限り重要ではないわけです。
ネリも他の犬に突進する(親睦)タイプだったが、次第にそれを抑える方向に向かった。

ノーリードを実現させるためには、犬の独立心や好奇心、親睦心を必要以上に煽ることはやめておいた方が無難です。もちろん度が過ぎるとシャイ傾向に偏る危険性も出てくるので、安易な判断は危険ですから、注意深い監督が必要であることは言うまでもありません。

 

他の犬に興味を持って勝手に近寄っていく行動を制御する訓練はいろいろありますが、もし根気良くできるのであれば、日常、他の犬とすれ違う時などに、状況に応じて「座る」か「反対方向に去る」か、「近寄っていこうとするのを叱る」ことでも十分訓練できます。そういう意味では訓練というよりはしつけの部類かもしれません。このとき忘れてならないのは、リーダーとしての行動を忘れないことと、もし少しでも他の犬から興味をそらして自分についていく素振りをした時に、すかさず「誉める」ということ、そしてもうひとつは「根気よく」です。これだけ忘れなければ「勝手に他の犬に近寄っていく」という行為は次第に消えていきます。

それが定着してくれば、今度は逆に、自分が「OK」サインを出した時、他の犬に近づいて行っていいという事を覚えさせるといいと思います。

人間に近寄っていく癖は、ツケによる歩行ができるようになったらなるべく早く、人混みには積極的に連れて行く事です。その上で、人間達に無視されながら歩く事を覚えます。もし誰かが犬に触ろうとするならば、まず人間同士が挨拶、会話した後に、リーダーの指示とコントロールにおいて撫でて貰います。このことを徹底するのは、日本の風習の中ではかなり難しいのですが(犬を見て人を見ず勝手に触れるのがわりと一般 的な態度)、意識してそうさせるよう心がけます。

まあ、あまりガチガチになると人間も緊張してしまって疲れますから、それでうまくできなかったとしても、あまり神経質になることはありません。犬に人間の基本的な態度というのが伝われば良いのですから。



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