ぐうたら犬と暮らそう

訓練所で覚えたコマンド

 ゴルビーは、訓練所でスワレ、フセ、マテ、コイ、モッテコイ、トベ、アトヘ、ツケなどを覚えましたが、家で事前に覚えていたスワレとマテ以外は本当にダルそうに、文句を言いながらやります。また訓練士のお兄さんがリードでお尻をポンと叩いたりしてたため、これらのコマンドがかかるとどうもイヤな思い出がよみがえってくるようで、ちょっと神経質になります。だいたい、トベを除けばどれも家でできる訓練です。それを数ヶ月も訓練所に押し込まれてリードで叩かれてたんでは、イヤになるのも当然です。訓練所を中退して僕が新たに入れたコマンドは、ルスバン、アッチイケ、マッテロ、ストップ、ゴー、ミギ、ヒダリ、ユックリ、ノレ、オリテ・・・など、まあアバウトなコマンドばかりでしたが、こっちの方がずっと多いし役に立ちました。トベは、後に公園で遊ぶようになってスラロームとセットで進んでやるようになりましたが。最後まで抵抗したのは、アトヘとフセでした。けれども、この事はゴルビーに任せることにしました。それは甘やかしでも諦めでもありません。ゴルビーは確かに、自分で何かを判断して、自主的にフセをし、アトヘをするのです。このことに気づくのには時間がかかりましたが、ゴルビー自身が必要だと思えばできる、つまり忘れたわけはないと分かってからは、フセもアトヘもちゃんとできるようになりました。そこで初めて、別 に訓練所でおやつをもらったり叩かれなくても、僕との対話の中で自然にできたんだと分かりました。犬は言われているように条件反射で生きているのではなく、確かに日々、何かを考えて生きているようです。

 そんな訳で、安易にゴルビーを訓練所に入れたのは間違いでした。これは訓練所が悪いというのではありません。我が家で普通 に暮らす限り、訓練所での合宿訓練は全く必要なかったということです。むしろ必要なのは、飼い主に対するしつけ教室ではないかと思います。とはいっても、犬を連れて何かの命令をする教室ではありません。犬との暮らし方を皮膚感覚で覚えるための教室です。僕自身、そういう感覚が足りなすぎたため、ゴルビーといい関係を作るまでに相当な回り道をしました。

 訓練所に愛犬を預ける人の多くが「基本的なしつけを学ぶため」という理由をあげますが、それは逆で、家庭犬が訓練所に入るというのは、基本的なしつけがきちんとされていて、訓練所でさらに高度な訓練を覚え、警察犬や災害救助犬などとして、より社会的に活躍するために、飼い主共々奉仕活動するためと考えた方がすんなりと理解できます。「基本的なしつけ」もできないのに訓練所に入ったのでは、訓練所での愛犬の努力と、決して安いとは言えない授業料は、卒業してから全て水の泡になってしまいます。

 

 

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