ぐうたら犬と暮らそう

参考:犬の挨拶のデメリット
  1. 咬傷事故
     同性同士の場合、どんなに社会性があっても喧嘩の可能性をゼロにすることはできません。ゴルビーは歩いているところを、いきなり他の犬に噛まれたのが2回、お互いに突進して自転車に乗っていた相手の飼い主が転倒したのが1回、僕自身が他の犬に噛まれた事が1回あります。特に牝のシーズンには要注意です。普段仲が良い仲間の牝を巡る争いに巻き込まれたら誰が責任を取ればいいでしょうか?ヒートした牝を連れた飼い主?それとも噛んだ牡?さらに、大型犬と小型犬の場合はもっと悲惨な事が起きる可能性があります。大型犬の多くはマルチーズやミニチュアダックスを「犬」とは認識できません。
  2. しつけや訓練が台無しになる
     どんなに厳しく制止コマンドや無視のしつけを入れても、犬の挨拶の習慣ができてしまったら最後、全てが台無しになります。この事は「挨拶」の問題だけでは済みません。道路に飛び出したときやリードが外れたときなど、予期しない犬の突発行動の全ては、犬が何かに気を取られて他の事が目に入らない状態です。この時、どんなに理性の強い犬でも、呼びや制止が効くかどうかというのは、瀬戸際なのです。それをわざわざ感情的に(本能的に)行動するようにし向けるというのはとても危険な試みです。「犬の挨拶」を肯定しつつ同時に「ドッグラン」や「ノーリードOK公園」を欲しがるオーナーに至っては、もはや犬のしつけを放棄していると見られても仕方がないでしょう。
  3. 権勢欲がかえって強くなる
     特に牡同士の場合、上下をつけたがる本能が満たされることによってそれがどんどんエスカレートします。せっかく家の中では無条件に犬が下だったものが、外で覚えてきたためにひっくり返る事もあり得るのです。
     また、犬同士の順位付けに、飼い主もすっかり巻き込まれているという事を、多くのオーナーは気づくことができないでいます。ません。気づかないという事はコントロールできないということです。
    ゴルビーの近所の牝のミックスは、僕にとても懐いていました。ところがゴルビーが病気をしてほとんど寝たきりになり、彼らの順位 がひっくり返った 頃、一時的に僕を無視するようになったという事がありました。彼らの順位 構造は、人間が考えているよりずっと複雑なのです。
  4. 犬のストレスを増大させることがある
     性格にもよりますが、ストレス解消のつもりが、ハンパな順位付けのために犬のストレスを増大させ、無駄 吠えや攻撃性を増す事があります。僕の見たところ、日本犬にその傾向が強いように思います。そもそも公園だけで出会う順位 というのは、共同体としての犬の群れの構造を持たない歪んだグルーピングが前提になっています。それは普段自分が守る者も守られる者も、何かを分け合うというような機会も殆どない、非常にテンポラリーな不安定な構造になっています。さらに悪いことにその順位 付けのための作業も、人間のリードのコントロール下で行われるため、力の拮抗した者同士ほど決定戦を先に持ち越される可能性が大きくなります。 そして残念なことに、一度順位争いに参加することを覚えた犬のポジションがあいまいなままであればあるほど、犬の生命の危険は増すのです。
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